アグニと ヤギャの変容の炎

秋のナヴァラトリでも執り行われるヴェーダの伝統儀式・ヤギャ。その起源と歴史をひもときます。英語の原文はこちらからお読みになれます

 

どの文明でも火は偉大な位置を占めています。これまでも、そしてこれからもです。それは炎、キャンドルの炎、マッチの炎、あるいはあなたのライトボディ、雷の形をとるかもしれません

〜ハー・ホーリネス・サイマー 2019年バースデー・アドレス(講話)

現代のヒンドゥー教徒がブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァを最もパワフルな神の三位一体と見ている一方で、ヴェーダの時代(紀元前2000年- 500年)はインドラ、アグニ、ソーマと、ヴァルーナやヴァユが最もパワフルとされ、信奉の対象でした。多くのヴェーダの神々同様、その概念の起源はおよそ紀元前5000年 – 2000年のインド=ヨーロッパ(印欧)時代の、その役割が文章として残ってはいない、より古代の神々や象徴的存在へとさかのぼります。

こうした神がいの多くは五元素のエネルギーや、リシ(聖賢)たちが五元素を通して体験した意識を擬人化したものでした。人間である私たちは往々にして、神聖な存在や神性を状況に当てはめて理解しようとしますが。先述した神々は本来もっとずっとダイナミックなものであるのですが、こうした神々の役割のひとつは、人間が世界、それも具現している現実と、より高次のエネルギーの、両方との関係を築く上で役立ってくれるということにあります。

インドラ ー 純粋空間/エーテル

アグニ ー 火

ソーマ ー 月

スーリヤ ー 太陽

ヴァルーナ ー 水

ヴァユ ー 風/空気

アグニはインドラとほぼ同格で、神々の王であり紀元前1700 – 1100年の間に記されたヴェーダの最も古い文書『リグ・ヴェーダ』の冒頭の一節で呼び起こされているほど大切な存在です。この二柱の神々はともに語られることが多く、それがこの神々の「格」とその協働を物語っています。文書によればアグニ神とインドラ神の役割は神性なる衝動(インパルス)の具現に働くというもので、純粋な意識(インドラ)が形や物質として具現する方法をとるのだそうです。

アグニは高次の光とともに輝きを放つ;そのパワーはあらゆるものを具現させる

(リグ・ヴェーダ 5.2.2)

火は人類に不可欠ですから、火(および他の元素)が、高次の創造的意識の擬人化となることに驚きはありません。火は物質の性質を変えることができるので、人類はそれを儀式や捧げものに使ってきました。敬意を払い、このパワフルであり同時に危険でもある、人類に与えられた贈物を称えてきたのです。ヤギャとそれにまつわる儀式はいずれも、火にまつわる古代のパラダイムから発展し、その多くがヴェーダの文書に書かれ、大切に注意深く現代へと踏襲されてきました。ヤギャの炎はこの具現の世界へのアグニの反映であり神聖な存在と人類の扉であると見られています。「神の口」とあだ名されるアグニは、ヴェーダによれば人類が神々に捧げものをし、交信し、助けを求めることのできる唯一の存在とされます。アグニは物質の変質・変容の始原的な窓口だったのです。

「もう一度言いますが、ヴェーダの時代にはインドラとアグニは毎日の生活の中で偉大な、とても偉大な重要性を持っていました。アグニはスピリット(霊)で、エネルギーとして、神として、神の口と呼んでもいいヤギャのクンダ(神聖な火炉)に置かれたのです。 あなたが澄ましバター、ギーを捧げる時…そして『スワハ』と唱える時、その時にだけ、スピリットに、神に、あるいはあなたが呼び起こしているエネルギーに、届くのです。そのようにして願い事は叶えられます

〜ハー・ホーリネス・サイマー

この根本的なエネルギーを活性化して私たちの住む具現の世界にもたらすという実践は数千年にわたって、変わることなく続いてきました。ヤギャを通して私たちは神々と、根源的で形のない、未だ具現されていない、純粋な意識と「ありてあるもの」のエネルギーと交信し続けるのです。

「はい、そうです、ヤギャには形のない時代もありました。そしてあなたは、その炎の中に形を見出すことでしょう」

〜ハー・ホーリネス・サイマー

ヤギャは私たちの根源との統合をパワフルにシフト(上昇)させて、私たちと根源との永遠おつながりへの深い認識をもたらしてくれることで、アグニ神や先述の多くのエネルギーへ私たちがアクセスすることを可能にしてくれます。燃やすこと…形のないところへと還すことでしか叶わない変容を、可能にしてくれるのです。それはあなたという、個性化された意識が、時間のない、終わりのない、絶対性へと還るということでもあります。

サイマーと、インド・ヴァラナシにある私たちのシャクティダム・アシュラムのパンディット(高僧)たちはこのワークを続けています。そしてヤギャが頻繁に執り行われることで私たちは、古代ヴェーダの様々な伝統とのまたとないアクセスの方法を持ち得ます。ヤギャにご興味のある方はこちらからどうぞ。

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